ダイハツ本社(大阪府池田市)

ダイハツ工業の2024年3月期の単独決算は営業損益が50億円の赤字(前の期は380億円の黒字)だった。営業赤字となるのはバブル崩壊後に販売が低迷した1993年3月期以来、31年ぶり。認証検査を巡る大規模な不正で、23年12月に国内の新車出荷を全面停止し、4つの完成車工場全てで生産を停止したことが響いた。

ダイハツが公表した決算公告で前期の単独決算が分かった。売上高は前の期に比べ21%減の1兆1810億円だった。ダイハツは国土交通省による安全性基準の適合確認を終えた車種から順次生産と出荷を再開したが、全ての工場を再稼働したのは5月上旬だった。軽自動車の新車販売台数は22%減の44万台となり、18年ぶりにスズキに国内シェア首位を明け渡した。

営業損益は赤字になったが、配当や為替差益などで640億円の営業外収益を計上した。生産と出荷を停止したことによる部品会社への補償などで700億円の特別損失を計上した一方で、税金の払い戻しもあり、税引き利益は81%減の150億円と黒字を確保した。

24年3月末時点で、1年以内に現金化できる資産から短期間で返済が必要な負債を差し引いた金額は1180億円と、23年3月末から90億円増加した。工場の停止で運転資金が抑えられたことで増加したようだ。ダイハツは部品会社などへの補償の規模を明らかにしていないが、井上雅宏社長はかねて「自己資金で対応できている」と説明していた。親会社のトヨタ自動車からの資金支援は受けていないとしている。

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