経済産業省は6日、2024年版不公正貿易報告書を公表した。東京電力福島第1原発の処理水放出を受けた中国による日本産水産物の輸入禁止に対し、「処理水放出が安全性に与える具体的なリスクについて科学的根拠を示していない」と指摘。不当な措置に懸念を示した。

日本は、国際原子力機関(IAEA)の安全基準に沿っているとして、禁輸措置の撤廃を繰り返し要請しているが、中国側の姿勢は変わっていない。経産省は優先課題に位置付け、2国間や多国間での協議などを通じ解決を目指す方針だ。

中国による電気自動車(EV)などの過剰生産については、巨額の補助金といった「非市場的措置・慣行に対処することが必要だ」と強調。市場をゆがめかねないとして、先進7カ国(G7)などで議論が進む世界貿易機関(WTO)のルールの活用や強化により対応するよう訴えた。

中国などが貿易を制限して相手国に圧力をかける「経済的威圧」への警戒感が高まっている。経産省は、ルールに基づく国際秩序が重要だとして、同志国との連携を強化することで対応や抑止に努める方針を掲げた。

香港の日本総領事館の外で、東京電力福島第1原発の処理水放出に抗議する香港の漁業者=2023年8月(EPA時事)

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