JFEスチールは6日、二酸化炭素(CO2)排出量を実質ゼロとみなす「グリーン鋼材」で建造した船が進水したと発表した。同社によると、グリーン鋼材のみを使った船舶は世界で初めて。同鋼材は通常よりも4割ほど高いが、海運業界の脱炭素の取り組みとして注目されている。
建造した檜垣造船の本社工場(愛媛県今治市)で5日、ドライバルク(ばら積み)船の進水式が行われた。日本郵船子会社のNYKバルク・プロジェクト(東京・千代田)の海運事業に使われる。同社の船舶2隻にグリーン鋼材を追加で提供する。
9月に就航し、日本海事協会(東京・千代田)からグリーン鋼材を使用したとの証明を受ける予定だ。
JFEスチールは商船三井系や川崎汽船など海運5社の計7隻にグリーン鋼材を供給すると発表していた。新たにNYKバルク社が2隻を追加発注し、計9隻に増える。使用されるグリーン鋼材は1万2千トン増えて、計3万6千トンとなる。
グリーン鋼材は、別の鋼材の製鉄過程で減らしたCO2を割り当て、CO2を削減したとみなす仕組み。JFEスチールはCO2排出量の多い鉄鉱石と石炭を使う代わりに鉄スクラップを混ぜる取り組みなどを通じてCO2を減らしている。
海運業界も脱炭素を進めているが、燃料を大量に使うことなどから大幅な削減は難しい。グリーン鋼材の販売価格は通常よりも4割ほど高いが、脱炭素の取り組みの一つとして一定の需要がある。
JFEスチールは荷主として当該の船を利用して運賃の引き上げを受け入れており、グリーン鋼材の採用につながっている。
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