スペースデブリ(宇宙ごみ)除去など、宇宙の軌道上でのサービスに取り組むアストロスケールホールディングス(HD)が5日、東証グロース市場に上場した。初値は公開価格(850円)を51%上回る1281円で、売買金額はこの日の東証グロース市場の首位だった。
株価は一時公開価格を86%上回る1581円と、値幅制限の上限まで上げる場面もあった。終値(1375円)ベースの時価総額は1554億円だった。
岡田光信社長兼最高経営責任者(CEO)は同日の記者会見で「世界に先駆けていることが投資家に大きなインパクトだったのではないか」と話した。
同社は人工衛星を使って、運用終了後の衛星や既存のデブリを除去したり、運用中の衛星の軌道修正や燃料補給を行ったりするサービス開発に取り組んでいる。
秒速約7〜8キロメートルのデブリに接近し捕獲する技術は難しく、同社は民間企業で世界初のデブリ除去の商用サービス化を目指している。2024年4月にはデブリへ接近し、近距離で撮影した画像を世界で初めて公開した。
2024年4月期の連結業績は、売上高が前の期比約51%増の27億円、最終損益が80億〜115億円の赤字(前の期は92億円の赤字)だったようだ。
アイザワ証券の三井郁男・投資顧問部ファンドマネージャーは「宇宙産業はグローバルで数少ない日本の成長産業。技術やノウハウの先行優位性が市場に評価されたのではないか」とみる。
今後も軌道上サービス市場は拡大する見通し。デブリの数は23年時点で微小なものを含めると1億3000万個に上ると推定。人工衛星の数は約7560基あり、30年までにさらに2万基の打ち上げが見込まれる。
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