戸田建設は5日、ビルの内装工事や設備工事で床などに設計図通りの線を引く「墨出し」作業を効率化する技術を都内で報道公開した。出資するカナダのスタートアップが開発したレーザー機器を使い、従来熟練の技能者が2人がかりで進めていた作業を1人でできるようにした。高齢化で熟練技能者の人手不足が深刻になっていることに対応する。
工事現場の床に書き込む線や印は下請け会社が壁や設備を正しい位置に設置するための目印として不可欠だ。戸田建設が東急建設などと出資するカナダのスタートアップ、メカシスの機器を使い、図面の線や印をレーザーで実寸大にして床や天井に投映する。
機器は1人で運べるサイズで、内装工事の技能者が自ら扱える。準備も含めて作業は数分で済む。タブレット端末で図面データを見ながら操作し、周囲半径8メートルまでの範囲に一度に投映する。自動で測量する機能を備え、床の傾きや段差にも対応する。文字などを投映して、複数の工種が関わる場所を分かりやすく示すことも可能だ。
従来は専門の技能者が手作業で線や印を書き込んでいた。中規模オフィスビルの場合、従来の方法では1フロアに線や印を書き込むのに丸1日かかる。資機材の搬入にも制約があった。「雨などで工程がずれると複数の工事の技能者を手配し直す手間が生じていた」(建築生産企画部の池端裕之部長)
メカシスはこのほど量産機を開発した。同社のウィリアム・サンピエール最高経営責任者(CEO)は「2024年12月までに世界で50台を量産する計画だ」と語った。戸田建設は改修や改装のほか、設備が複雑な病院の新築工事を中心に機器の活用を広げる。
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