モバイルSuicaやえきねっとの機能を1つのアプリで使えるようにする

JR東日本は4日、交通系ICサービス「モバイルSuica(スイカ)」や切符予約に使う「えきねっと」などの各機能をまとめて使える専用アプリを2028年度に導入すると発表した。これまで約20種類に分散していた会員IDも統合する。鉄道乗車や買い物、金融・行政サービスを1つのアプリで完結できるようにし、沿線利用者の利便性を高める。

共通アプリ「Suicaアプリ(仮称)」を開発する。これまでJR東の列車に乗るには改札機を通過するためのモバイルスイカと、チケットを買うためのえきねっとにそれぞれ会員登録が必要だった。今後は1つのアプリで乗車できるようにするほか、駅ビルで一定額の買い物をした利用者には帰りの運賃を割引にするなど特典を設ける。

金融サービス「JREバンク」の機能も共通アプリで使えるようにする。宅配業者がスイカの改札データを使って利用者が在宅かどうかを把握し、宅配の荷物を届けるシステム開発も目指す。マイナンバーカードとひも付け、年金や還付金の受け取りなど行政・地域サービスも使えるようにする。

会員IDの統合でデータ基盤を整え、利用者ごとの嗜好や健康状態に沿ったサービスを提案できるようにする。駅ナカやホテルなど各サービスとの接点を持たせやすくし、23年度に8470億円だった「非鉄道」事業の収益を33年度までに倍増させる。

JR東の喜勢陽一社長は4日の記者会見で「スイカを移動から生活のデバイスに進化させる」とし、「(鉄道)他社とも連携して利便性を高めていきたい」と語った。

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