日本製鉄の森高弘副会長は2日までにインタビューに応じ、米鉄鋼大手USスチールの買収を巡り、本社所在地のペンシルベニア州で地元の有力者らと対話したと明らかにした。失業や国家安全保障への影響を懸念する声が多いことを踏まえ、「(買収は)成長投資なので仕事はもちろん、鋼材を含めた関連産業を強くするもので安保上も心配ない」と説明したという。

森氏は5月後半に1週間程度訪米。買収に反対する全米鉄鋼労組(USW)関係者とは面会しなかった。

森氏は、地域の有力者ら約150人を集めた集会で、買収の意図などを説明した。「私から直接、地域の有力者に意図を正しく伝えるのが目的」とし、「一定の成果はあった」と述べた。

2011年、日鉄(当時の住友金属工業)は鉄道車輪・車軸大手の米スタンダードスチール(ペンシルベニア州)を買収。日本の高い技術力や資本を投入するなどして生産性を高め、地域の関係者とも良好な関係を築いてきた。こうした実例も挙げながら説明したことで、森氏は「非常に説得力あるものとなった」と語った。

買収後を見据え、日鉄の技術部門はUSスチールの主要な製鉄所を視察し、技術面でどういう貢献ができるか検討を始めた。森氏は今月上旬に再び訪米し、関係者との対話を通じ買収への理解を得たい考えを示した。

インタビューに応じる日本製鉄の森高弘副会長=5月30日、東京都千代田区

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