完成した太陽光パネルの熱分解装置(16日、岡山県新見市)

太陽光発電システムの開発・販売を手がける新見ソーラーカンパニー(岡山県新見市)は16日、太陽光パネルを95%リサイクルできる熱分解装置が完成したと発表した。二酸化炭素(CO2)を出さず高純度で素材を抽出できる。同県倉敷市の企業に1号機を納入する。2030年代以降、耐用年数を迎える太陽光パネルの大量発生が見込まれており、再資源化のニーズを取り込む。

装置は幅5メートル、奥行き15メートル、高さ3メートル。廃棄太陽光パネルのアルミフレームを取り外して投入する。600度以上の過熱水蒸気で封止材(接着剤)やバックシート(プラスチック材)は気化させ、重量ベースで7割を占めるガラス片や、銅線、電池セル(シリコン、銀など)に分解して取り出すことができる。

処理能力は1時間に10枚、24時間365日稼働すると、最大で年間9万枚(1枚1.7×1メートル、約2000トン)程度になる。想定価格は1基約3億5000万円。1号機は倉敷市の西建設に廃棄物処理の許可手続きなどを経て、2025年度中に引き渡される見通しだ。このほか新見ソーラーは3号機まで導入の準備をしており、全国展開を進める。

新見ソーラーは廃棄太陽光パネルから新しい太陽光パネルをつくる水平リサイクルの実現を目標にしている。廃棄を防いで輸入による調達リスクを低減できる。一般財団法人PVリボーン協会(同県西粟倉村)を立ち上げ、再生・循環の仕組み作りや技術開発にも取り組んでいる。

新見ソーラーの佐久本秀行社長は「CO2ゼロと高純度抽出はオンリーワンの技術。(資源循環の)岡山モデルが始動した」と話す。

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