日産自動車は、エンジン部品などを製造する下請けのメーカー36社に対し、納入時に支払う代金を一方的に減らしていたことが下請け法に違反するとして、ことし3月、公正取引委員会から勧告を受けました。

会社は31日、内田誠社長が記者会見し、取り引きの適正化に向けて、新たな部署となる「パートナーシップ改革推進室」をつくるとともに、社外に取引先専用のホットラインを設けて対応を進めていくと説明しました。

そのうえで「強い責任感と覚悟を持って企業風土の改革を率先して進めていく」と述べました。

内田社長は勧告を受けた責任を取るとしてことし4月から3か月間、役員報酬の月額の30%を自主返納するとしています。

一方、公正取引委員会から勧告を受けたあとも代金の引き下げを行っていた可能性があるとして外部の弁護士などが進めていた調査の結果について、担当した弁護士は、一方的な代金の引き下げの事実は確認されなかったと説明しました。

そのうえで内田社長は、取引先から不満の声があがっていることは事実だとしたうえで、取り引きの全般まで範囲を広げて追加の点検を進めるとしています。

日産は今後、再発防止策をまとめ、公正取引委員会に提出することにしています。

自動車業界 適正な価格転嫁への対応求められる

自動車業界に対しては、適正な価格転嫁への対応が求められていて、各社が自主点検を進めるとともに業界としての方針が新たに示されました。

公正取引委員会は、ことし3月に日産自動車に対して勧告を出したあと、大手自動車メーカーなどが会員となっている日本自動車工業会に対しても業界全体の取引適正化を推進するよう文書で要請しました。

また、ことし4月には、齋藤経済産業大臣が日本自動車工業会の幹部に対し「サプライチェーンの隅々まで不適切な業界慣行を確実に一掃するよう、責任を持って早急に取り組んでほしい」などとして、取引先の中小企業の価格転嫁に応じるよう求めていました。

こうした中、日本自動車工業会は、会員各社が法令順守の状況について緊急の自主点検を進めていて、6月末までに結果を取りまとめるとしています。

さらに、5月には、業界団体としての新たな方針を決定し、この中で、原材料費やエネルギー費の上昇分については、適切なコスト増加分の全額転嫁を目指すなどとしています。

一方、民間の信用調査会社「帝国データバンク」がことし2月に行った調査によりますと、コスト上昇分をどれだけ販売価格に転嫁できているかを表す「価格転嫁率」は、製造業では「鉄鋼・非鉄・鉱業」が48.5%、「アパレル製造」が40.7%、「電気機械製造」が40.6%、自動車や鉄道車両などの「輸送用機械・器具製造」が39.3%などとなっています。

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