事業説明会に登壇したソニーセミコンダクタソリューションズの清水氏(31日)

ソニーグループの半導体事業会社、ソニーセミコンダクタソリューションズは31日、事業説明会を開いた。清水照士社長兼最高経営責任者(CEO)は「車載カメラ向け半導体事業を2027年3月期までの中期経営計画の期間中に黒字化させる」と述べた。モバイル向け事業を担当する指田慎二副社長らも登壇した。主なやりとりは以下の通り。

――スマートフォンのカメラなどに使う画像センサーの設計・開発に特化し、自社生産と生産委託を使い分けるファブライト体制にすることは検討しているか。

清水氏「一部の工程を外注することで投資を減らすことを試みたが、元の形に戻した。画像センサーはロジック(演算用)半導体と画像センサーを貼り合わせている。5年くらい前かと思うが、一部の画像センサーの生産をファウンドリー(製造受託企業)に委託し、自社でロジックとセンサーを貼り合わせる工程を考えた」

「ただ、20年から米中間の問題や、世界中の半導体不足が始まった。ファウンドリー側で我々のセンサーの分のキャパ(生産能力)が確保できない世の中になった。投下資本利益率(ROIC)を改善するには投資を減らす必要があるが、ファウンドリーへの委託費用や、生産能力の確保が難しくなっていることを踏まえると、外注はよく考えながら進める必要がある」

――台湾積体電路製造(TSMC)の製造子会社でソニーも出資するJASMの進捗は。

清水氏「JASMの第1工場は回路線幅が22ナノ(ナノは10億分の1)メートル品の量産の準備をしており、順調に進んでいる。第2工場は将来の12ナノメートルに備えた生産能力の準備と位置づけている」

――23年の(スマホなどのカメラに使う)画像センサーのシェアが22年と比べて高まったのはなぜか。

指田氏「特定の顧客へのコメントは控えるが、我々のシェアが高いフラッグシップハイエンド(旗艦の高価格帯品)の比率が市場全体で高まっていることが要因だ。高画質が求められ、動画に対する要求が高まっている」

指田氏「(画面側にある)フロントカメラはビデオを撮影する用途の要望が強く、多画素化と(画像センサーの面積を大きくすることで性能を高める)大判化が進むというのが中期的な見立てだ。サブカメラに加えてリアカメラも目先で大判化が進んでいる」

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