事業説明会に登壇したソニー・ミュージックエンタテインメントのストリンガーCEO(30日)

ソニーグループの音楽子会社、ソニー・ミュージックエンタテインメントは30日、人工知能(AI)による楽曲などの不正学習を巡り、AI開発者に対して同社のコンテンツを学習から除外するように要請する書簡を700通以上送ったことを明らかにした。ロブ・ストリンガー最高経営責任者(CEO)は「AIモデルの不当な学習は容認しない」と述べた。

同日開いたソニーGの事業説明会で明らかにした。ストリンガー氏は過去1年間でAIが生成した疑似音楽コンテンツ2万件以上に削除申請をしたことも公表した。学習データをもとにコンテンツを作り出す生成AIに対し、アーティストらのなかで不正学習の懸念が高まっていることに対応した。一方、許諾さえ取れば同社の楽曲をAIの学習に使っても良いとの見解を示した。

音楽事業はソニーG主要6事業のなかで最も利益貢献が大きい稼ぎ頭だ。楽曲の権利やコンサート運営、マーケティングなどの分野で企業買収を重ねて成長してきた。ストリンガー氏は「グローバル規模での大手の地位を確実にするには今後も新しい投資は不可欠だ」と語った。

映画子会社のソニー・ピクチャーズ エンタテインメントのトニー・ヴィンシクエラ会長兼CEOは、インドで企業買収に向けた交渉を進めていることを明らかにした。同社は現地放送大手ジー・エンターテインメント・エンタープライゼズとの統合交渉の打ち切りを年初に発表していた。ヴィンシクエラ氏は「いくつかのオプションを考えている。(インド事業を)再活性化して競争に打ち勝っていきたい」と話した。

6月からSIEのCEOに就任する⻄野氏

事業説明会では、ゲーム子会社のソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)の6月1日付で共同でCEOに就く西野秀明氏とハーマン・ハルスト氏も登壇した。

パソコンでゲームを遊ぶ消費者が増えているが、西野氏は「据え置き型ゲーム機はソニーの技術をすべてまとめられ、研ぎ澄まされた体験をユーザーに提供できる」と述べた。プレイステーション(PS)5とパソコン向けに新作ゲームを同時に発売し「PCで新たなユーザーを開拓し、PS5に移行してもらう」(ハルスト氏)戦略を示した。

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