米坂線復旧の課題を検討する会合で、JR東日本は利用の試算を提示(29日、山形県小国町)=共同

2022年8月の豪雨で被災し一部区間の不通が続くJR米坂線の復旧を巡り、JR東日本新潟支社は鉄道を復旧しても利用者数の大幅な改善は見込めず、大量輸送という鉄道の特性を発揮できないとの試算を公表した。沿線の山形、新潟両県はJRによる鉄道復旧が望ましいと改めて主張。議論は平行線をたどった。

米坂線復旧の課題を検討するJR東と沿線自治体などとの会合が29日に山形県小国町であり、JR東新潟支社が40年の鉄道利用を試算した。1キロメートル当たりの1日平均乗客数(輸送密度)に相当する数値は、不通区間のうち坂町(新潟県村上市)―小国(小国町)で219〜109人(19年は169人)、小国―今泉(山形県長井市)で262〜167人(同299人)だった。

同支社の三島大輔企画総務部長は会合後、記者団の取材に「試算を踏まえると、被災前のようにJR運営を前提とした復旧は、民間企業として難しい」と述べた。

これに対し、新潟県の担当者は「大量輸送性以外に、災害時の機能や地方創生の観点からも議論する必要がある」と主張。山形県の担当者も「沿線地域として利用拡大に取り組む」と述べ、鉄道復旧を求めた。

JR側は今後のあり方について①被災前と同様にJRによる運営②上下分離方式の導入③第三セクター方式などの導入④バス転換――の4パターンを例示。これを踏まえて今後議論を進める方針を示した。〔共同〕

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