事務機大手の富士フイルムビジネスイノベーション(BI、旧富士ゼロックス)は29日、複合機の使用済みトナーカートリッジのリサイクル拠点をオランダに設置すると発表した。欧州域内で回収したカートリッジを再生品に仕立てる。欧州で整備が進む環境規制に対応する。
新施設「サーキュラー・マニュファクチャリング・センター」は6月から稼働する。富士フイルムグループでトナー部品の再生拠点を欧州に設けるのは初めて。オランダは欧州の中心に位置するため物流効率が高いと判断した。
欧州域内から回収した使用済みトナーカートリッジを分解し、トナーを充塡したうえで出荷する。出荷本数は年間10万本程度を見込む。25年中にも複合機や商業印刷用プリンターのスペアパーツの再生にも乗り出す。数年後をメドに、使用済み複合機を分解して修理する「再生機」の生産も検討している。
欧州では資源循環に関する規制「持続可能な製品のためのエコデザイン規則(ESPR)」の導入に向けた議論が進む。プリンターや複合機の分野では早ければ26年末に施行され、使用済み製品の回収や再生が義務化される可能性がある。
富士フイルムBIは4月に欧州でデジタルカラー複合機の販売に本格参入した。同市場の開拓には環境対応が必要だと判断した。
環境対応は複合機メーカー各社が取り組む。キヤノンはドイツの拠点に使用済みの複合機を集め、域内で再出荷する取り組みを進める。リコーは23年6月時点で欧州9カ国の回収業者と連携して自社のトナーカートリッジを集め、フランスなどの拠点で再生している。リコーによれば「欧州の規制に対応できないと、欧州域内での複合機の販売ができなくなる恐れがある」という。
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