債権者会議で事業再生計画案の同意を得た山形屋(鹿児島市)

経営再建に取り組んでいる百貨店の山形屋(鹿児島市)と17の取引金融機関は28日、鹿児島市内で債権者会議を開き、事業再生計画案に合意した。負債総額約360億円の一部圧縮と返済繰り延べや、持ち株会社設置などグループ会社の再編が柱。債務圧縮など金融支援額は公表していないが、110億円程度とみられる。

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事業再生計画は、鹿児島や宮崎の百貨店各社のほか、食品スーパーの山形屋ストア(鹿児島市)などグループ17社について、私的整理手法の一つである事業再生ADR(裁判以外の紛争解決)によって経営再建を進める内容。この日の債権者会議では全機関が計画に同意した。

金融支援の細かい内容は公表していないが、債務を株式に転換する「デット・エクイティ・スワップ」や、融資を返済順位の低い劣後ローンに切り替える「デット・デット・スワップ」で、合わせて110億円程度の債務を圧縮する模様だ。また、残り250億円について返済を5年間猶予して、その間に経営再建を進める計画とみられる。

組織再編では、グループを統括する持ち株会社を6月に新たに設置。持ち株会社には山形屋(鹿児島市)の岩元純吉会長と岩元修士社長が経営陣として入るほか、鹿児島銀行から2人、ファンド運営のルネッサンスキャピタルグループ(東京・港)から1人の役員を派遣する。

さらに別会社で運営している鹿児島県内の山形屋店舗と関連会社を8月に統合。事務部門を集約して効率化するとともに接客や販売に人員を回す考えで、店舗の閉鎖や職員の早期退職・リストラは予定していない。ADR対象以外も含めグループは24社あるが、持ち株会社を含めて16社に集約されるという。

またテナントの見直しや売り場の改装、顧客向けアプリの開発といったデジタル活用などの店舗活性化や業務改革に取り組む。こうした改革で、2023年度に0.5%を見込んでいる連結営業利益率を、28年度に2%まで引き上げたい考えだ。

メインバンクである鹿児島銀行の郡山明久頭取は同日、「山形屋は地域のあらゆる世代にとって無くてはならない百貨店で、鹿児島・宮崎のシンボルとなる唯一無二の地域の財産。これからも、メイン行として取引金融機関とともにしっかりと支えていきたい」とのコメントを発表した。

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