熊本のバス5社は全国交通系ICカードによる決済を廃止する(熊本市)

熊本県内でバスや電車を運行する5社は、「Suica(スイカ)」や「はやかけん」などの全国交通系ICカードによる運賃決済を廃止すると発表した。代わりに2024年度内をめどに新たにクレジットカードなどのタッチ決済を導入する。機器の更新費用がかさむためで、同ICカード決済システム導入後に離脱するのは全国で初めてとみられる。

全国交通系ICカードによる運賃決済を取りやめるのは、九州産交バスと産交バス、熊本電気鉄道、熊本バス、熊本都市バス。5社が発行している「くまモンのICカード」は引き続き利用できる。

交通5社は16年3月に全国交通系ICカードの決済システムを導入しており、バスなどに搭載した機器が更新時期を迎えている。更新する場合、バスや電車に搭載している機器約900台分を入れ替える必要があり、5社全体で約12億円の費用が必要になる見込みだ。

これに対し、近年普及が進んでいるクレジットカードのタッチ決済などは、割安な読み取り用機器を利用できる。このため、経費を約7億円に抑えられるという。

熊本県の木村敬知事は28日の記者会見で、5社のタッチ決済移行について「熊本市と協調し、県も(導入費用の一部負担などの)支援を考えている。移行策を丁寧に説明して不便が生じないようにしたい」と話した。

熊本では半導体受託生産の世界最大手、台湾積体電路製造(TSMC)進出などで外国人労働者やインバウンド(訪日外国人)も増えていることから、5社はクレジットカード決済のメリットが大きいと判断した。新サービスの詳細については、今年夏ごろに改めて発表する予定としている。

【関連記事】

  • ・肥後銀行、スマホ決済「くまモン!Pay」開発 25年春に
  • ・都営地下鉄、クレカなどでタッチ決済 京急と実証実験

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。