ダイドーリミテッドの本社ビル(東京都千代田区)

衣料品ブランド「ニューヨーカー」を展開するダイドーリミテッドは24日、コンサルティング会社、ジェミニストラテジーグループ(東京・千代田)の成瀬功一郎氏が社長に就任する人事を発表した。アクティビスト(物言う株主)のストラテジックキャピタル(東京・渋谷)が株主提案する社長を含む取締役の刷新案に対抗する。

定時株主総会での取締役選任と総会後の取締役会の決議をもってダイドーリミテッド社長に就く成瀬氏

6月27日に開く予定の定時株主総会に諮る取締役候補6人を発表した。現社長の鍋割宰氏含め、現在の取締役は6人中5人が退任する。代表権のある会長にはジェミニストラテジーグループの山田政弘最高経営責任者(CEO)を候補とする。

成瀬氏や山田氏はダイドーが5月20日に発表した中期経営計画の策定にコンサルティング会社の立場で関わった。ダイドーは成瀬氏について、「中計への十分な理解と実行のための専門性を有しているため最適な人材だ」としている。

ダイドーを巡っては、ストラテジックが4月に業績低迷などを理由に鍋割社長ら4人の取締役の選任に反対を表明。アパレル大手オンワードホールディングス傘下のオンワード樫山で社長を務めた大沢道雄氏らを含む6人の取締役候補の選任を求めている。

ダイドーの取締役の定款上の人数は8人。株主総会でダイドーとストラテジックが提案する合計12人の取締役候補を諮る。過半数の賛成率を得た候補者のうち、賛成率の高い順で最大8人が選任される見通しだ。

ダイドーは24日、ストラテジックが株主提案する経営体制は、「業績回復や企業価値向上のために不適切である」として、反対を表明した。ストラテジックは同日、日本経済新聞の取材に対し「対応は検討中だ」としている。

ダイドーは2027年3月期までの中計でジェミニストラテジーグループとの協業を通じた経営体制の強化を打ち出していた。利益率や成長性の高い事業に集中するほか、中国事業をてこ入れする。24年3月期に2.1%だった自己資本利益率(ROE)を8%まで引き上げる目標を掲げている。

成瀬 功一郎氏(なるせ・こういちろう) 93年(平5年)米ロサンゼルス・ピアス・カレッジ卒。97年オプト入社。13年ホットリンクコンサルティング社長、22年ひらまつ取締役。54歳

【関連記事】

  • ・ダイドーの株価7%高 物言う株主「取締役選任に反対」
  • ・ストラテジック、ダイドーリミテッドの社長再任に反対
  • ・ストラテジック、ダイドー株を買い増し 21.7%に

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。