JR西日本はカスハラ被害を受けた従業員に弁護士を紹介し対応を支援する

JR西日本は24日、顧客による著しい迷惑行為「カスタマーハラスメント(カスハラ)」への基本方針を定めたと発表した。従業員が専門の弁護士に相談できる体制を整え、損害賠償の請求など民事訴訟も提起しやすくなるよう支援する。従業員を守るため毅然とした対応を示し、被害の抑止につなげる。

JR各社でカスハラに対する基本方針を公表するのはJR東日本に続いて2社目だ。JR西はカスハラ行為を社会通念上不相当で従業員の就業環境が害されるものと定義し、「身体的、精神的な攻撃」や「プライバシーの侵害や、名誉毀損に当たる言動」などの行為類型と具体例を挙げた。2024年度中に事例を集め対応マニュアルを作成する。

従業員のカスハラ被害について、上長を通じて担当部局が把握する。必要に応じて専門の弁護士を紹介し、加害者への損害賠償請求などを支援する。これまでも警察への被害届の提出などはしてきた一方、訴訟の対応は被害に遭った従業員に委ねていた。JR西日本によれば、労働組合から加害者への訴訟支援を求める要望があったという。

JR西の長谷川社長は従業員の人権を守る必要性を訴えた(24日、大阪市)

同日、大阪市で開いた記者会見で長谷川一明社長は「鉄道事業は利用客と接する機会が多い一方、カスハラと正当なクレームの線引きがなかなかできてこなかった」と指摘した。そのうえで、従業員の安全や人権を守り、職場環境を改善していく必要性を訴えた。

国土交通省が23年12月、全国の鉄道事業者からカスハラ被害を集計した結果、22年度は1124件の事例があった。私鉄各社が加入する日本民営鉄道協会も23年12月、カスハラの基準を設けて対応を求め、東京地下鉄(東京メトロ)が3月に対応ポリシーを策定した。

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