千代田化工建設と米LNGプラントを共同で進める米建設会社が米連邦破産法第11条(チャプター11)の適用を申請した

千代田化工建設が手掛ける米液化天然ガス(LNG)プラントのプロジェクトを巡り、米国の合弁相手企業が21日に経営破綻した。工事が一時中断し、追加費用を負うリスクがある。先行き不安から千代田化工株は22日に一時前日比53円(15%)安の295円と年初来安値をつけた。終値は42円(12%)安の306円だった。

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合弁相手の米ザクリ・ホールディングスが21日、日本の民事再生法にあたる米連邦破産法第11条(チャプター11)の適用を申請した。設計や工事を手掛ける米南部テキサス州のLNGプラント「ゴールデンパス」のコスト上昇が打撃となった。

ゴールデンパスは千代田化工やザクリなど3社からなるジョイントベンチャー(JV)が受注したプロジェクトだ。契約額は約100億ドル(約1兆5000億円)とみられ、LNGの生産能力は年1560万トンと米国で最大級の規模だ。プラントは設計・調達・建設業務からなり、プロジェクト全体の現在の進捗率は75%程度だ。

千代田化工が担当する設計・調達業務はおおむね完了しているが、ザクリの工事が一時中断していた。新型コロナウイルスの影響もあり完成時期は当初の2024年から25年中に後ずれしている。みずほ証券の伊藤辰彦氏は「工事の進捗が不透明になり、24年3月期に計上できるはずだったゴールデンパスによる一定額の収入をまだ受け取っていない可能性がある」と指摘する。

千代田化工は9日に予定していた24年3月期連結決算の発表を延期しており、新たな発表日を明らかにしていない。ゴールデンパスでは遅延による損失を抑えるため、建設は基本的に担当しない取り決めにしていたが、工事遅延やJVの解消がおきれば一定の損失が生じる恐れがある。

みずほ証券の伊藤氏は「ザクリ以外のパートナーとプロジェクトを続ける選択肢や、ザクリを除く企業連合で建設を進める選択肢がある」と話す。立花証券の島田嘉一氏は「先行きの不安により今後も弱い相場展開になる可能性がある」と語った。

千代田化工は18年に米国のLNGプラント「キャメロン」で追加工事が発生した影響などで、19年3月期に最終損益で2149億円の赤字を計上し債務超過に陥った。筆頭株主の三菱商事と三菱UFJ銀行からの計1800億円規模の資金を調達し、リスク管理体制の見直しを進めていた。

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