DMOや自治体の68.9%が訪日客受け入れ整備に課題を感じている(京都市の清水寺周辺)

リクルートのじゃらんリサーチセンターは22日、インバウンド(訪日外国人)に関する調査結果を発表した。課題に感じることを観光地域づくり法人(DMO)と自治体に複数回答で聞いたところ、約7割が「受け入れ整備」を挙げた。新型コロナウイルス禍からの復調で訪日客は戻ってきたが、地域側の受け入れ体制が依然整っていない姿が浮き彫りとなった。

2023年11月27日から24年2月29日にインターネットで調査し、DMOと自治体から回答を得た。回答数は177だった。

課題に感じていることの最多の「受け入れ整備」は68.9%で、次いで「人手不足」(65.5%)、「誘客プロモーション」(58.2%)などが続いた。山梨県富士河口湖町の富士山撮影スポットでマナー違反が起きるなど各地で問題が明らかになっている「オーバーツーリズム(観光公害)」も11.9%あった。

注力したいターゲットの国・地域についても複数回答で聞いた。1位は台湾(78.0%)で、2位はオーストラリア(51.4%)、3位は米国(49.7%)と23年と同じ顔ぶれだったが、豪州が順位を1つ上げて米国と入れ替わった。ターゲットの選定理由は「自地域の観光資源と相性が良いから」が最も多く64.4%で、次いで「自地域への来訪実績が多いから」(48.6%)だった。

じゃらんリサーチセンターの松本百加里研究員は「今後は需要予測などで限りあるリソースを最適化しながら人員配置をすることや、デジタルで解決できることは置き換えて人しかできないサービスで高付加価値を付けて稼げる地域へ発展させることが重要だ」と指摘した。

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