パナソニックHDのリチウムイオン電池

パナソニックホールディングス(HD)の楠見雄規社長兼グループ最高経営責任者(CEO)は21日までに日本経済新聞などの取材に応じ、電気自動車(EV)向け電池事業の営業損益を米国の補助金をのぞく実力値ベースで「2026〜27年度に黒字化」する方針を示した。EV電池の国内生産能力は30年に足元の2〜3倍に増やすとした。

パナソニックHDは23年度の連結決算で、EV電池事業の調整後営業利益が681億円と、前の年度の6倍になった。ただ、北米でEVや電池を生産する事業者を優遇する米インフレ抑制法(IRA)関連の補助金による利益押し上げ効果の868億円をのぞくと、事業損益は187億円の赤字だった。24年度は実力値ベースで170億円の赤字を見込む。

日本経済新聞などの合同取材に応じるパナソニックHDの楠見雄規社長兼グループCEO

楠見氏は「(高級EV向けに電池を供給する)国内製造拠点の収益が悪化している」と語った。パナソニックHDは傘下の電池事業会社が住之江工場(大阪市)などを運営する。現在は年間11ギガ(ギガは10億)〜12ギガワット時の国内生産能力の大半を米テスラ向けに振り分けている。

30年までに生産能力を25ギガ〜35ギガワット時程度に引き上げ、生産する電池の8割超を国内メーカーに提供するとした。パナソニックHDは3月にSUBARU(スバル)、マツダとEV電池の供給に向けた基本契約をそれぞれ結んだ。

家電事業については、中国でのコスト低減の取り組みを日本に取り入れる考えを示した。楠見氏は「調理家電では中国で5割ほど原価削減できたものもある」と述べ、中国流の手法を取り入れれば競争力強化につながるとした。収益が苦しいテレビ事業は他社との連携で商品力を磨く。

楠見氏は「(ひととおりの家電を生産する)フルラインアップ戦略を当面は維持していく」とも語った。

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