中期経営計画を発表する東芝の島田太郎社長(左)と池谷光司副社長(16日、東京都港区)

東芝は16日、27年3月期を最終年度とする中期経営計画「東芝再興計画」を発表した。最大4000人の人員削減などリストラ策を盛り込み、島田太郎社長は「会社を100年後に残すためにどうしても必要」と語った。記者会見には池谷光司副社長も出席した。主な一問一答は以下の通り。

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――島田社長は2022年のグループ戦略でデータ事業を成長の柱と強調しました。今後の東芝は何で稼ぎますか。

島田氏「データ事業が本格的に立ち上がるのは25年以降と言ってきた。今回の中計は27年3月期までで短期的・集中的にやらなければならない。その先の企業価値の創造がデータ事業につながっていく」

――中計で目標に掲げた売上高営業利益率10%の実現性は。

池谷氏「23年12月に着任して事業をつぶさに見て、東芝は十分再生可能だと感じている。課題事業の大半は適切な対応を取ることで収益を改善できる。技術や開発力をどう価値あるサービスに仕立てるか。様々な施策、腹落ちするKPI(重要業績評価指標)を従業員と共有していく。それらを1つずつ実行すれば目標を達成できる」

――24年3月期の営業損益は当初計画を未達でした。伸び悩んだ理由は。

池谷氏「(ハードディスクドライブ事業などでの)引当金が大きい。新体制になって損失リスクをもとに引当金を充てた。引当金を含まない営業利益は1400億円超で、利益率は4.5%ある。中計3年間の初年度は固定費の削減や引当金の削減をする。いったんかがむ形で固定費を下げて、損失を減らしていく方針だ」

中期経営計画を発表する東芝の島田太郎社長(16日、東京都港区)

――業績不振に伴う島田社長の経営責任は。

島田氏「社長である以上は結果責任をとらなければならない。24年3月期の業績不振は過去の受注、品質問題が主な理由だ。さらに半導体サイクルの悪い周期にあたった。デジタルとインフラは非常に順調に推移したというのが客観的な分析だ」

――島田社長と池谷副社長、馬上英実取締役会議長の3人の役割分断は。

島田氏「馬上さんは株主目線で意見をもらう。私は事業における様々な特性、どんなことが起こるのかを説明する。池谷さんはファイナンス領域の強化を得意とする。三者三様の強みを生かしている」

――今回は最後のリストラになりますか。追加の事業売却の考えは。

島田氏「15年以降の事業売却によってスタッフ部門が膨らんでしまった。適正化は必要なことだと考えている。今後は中計の進捗を見守る。子会社などの売却については、決まったことはない」

――トップの島田社長が人員削減について何も話さないのは異常。どう社員と向き合っていますか。

島田氏「私としては常に従業員の方々と、これが本当に必要なことなんだということを向き合って話してきている。苦渋の決断であり、私は従業員を大切に思っている。会社を100年後に残すためにどうしても必要なもの。私自身は責任を感じている」

――上場廃止の利点は。

島田氏「上場していた時は、株主と意見が合わなかった。企業側の意見があっても株主に否定され、経営の混乱を招いた。上場廃止後は株主は1社。インサイダーとして同じ目線で話せる。信頼感を持って判断できる。上場維持コストも巨大で、それによってスタッフ部門が膨らんだのも事実だ」

(細川幸太郎、大西綾)

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