太陽光発電所のケーブルなどの金属盗が全国で多発していることについて、警察庁の露木康浩長官は9日の定例記者会見で、「治安上の大きな課題だ」として、対策を強化する考えを示した。

 露木長官は、過去の検挙事例などから、外国人のグループが複数の県で盗みを重ね、被害品をまとめて買い取り業者に売却している実態があると説明。ドラッグストアなどでの大量の万引きや自動車盗と手口が共通しているとして、「不法滞在外国人の収入源になっていることがうかがわれる」と指摘した。

 露木長官は、警察庁に刑事局担当の審議官を長とするワーキンググループを設置し、制度面を含めた取り組みを検討すると説明。今後、都道府県警に対策の強化を指示するという。

 警察庁によると、昨年は金属盗の被害が全国で1万6276件あり、統計のある2020年から3倍に増えた。茨城県が2889件で4年連続の最多。このほか千葉1684件、栃木1464件、群馬1437件、埼玉1172件と関東地方での被害が目立った。今年も1~3月で既に全国で4802件の被害が確認されている。

 背景には金属類の市場価格の高騰があるとみられ、太陽光発電所のケーブルが盗まれる被害も多い。8日には埼玉県警が、三重県の太陽光発電所から銅線ケーブル約1600メートルを盗んだとして、カンボジア国籍の2人を窃盗容疑で逮捕した。(板倉大地)

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