職員の名札から、顔写真やフルネームを外す自治体が増えている。SNSによる検索で個人を特定されるといったトラブルを回避するためだ。ただ市民との距離感を意識し、変更に慎重な自治体もある。
茨城県土浦市は4月から、名札の記載を顔写真と所属、フルネームから所属と名字に改めた。きっかけは今年1月、女性職員が、窓口で対応中に相手の男性から写真を撮影されたことだ。市人事課によると、事前にこの職員と男性との間に口論などのトラブルはなかったという。この職員は撮影されて「気持ちが悪い」と不安を訴えたという。
市では4年前にも、男性職員が見知らぬ相手からフェイスブック(FB)で休日の行動を検索され、窓口で伝えられたこともあった。職員の個人情報を守る観点から、市長と副市長、教育長を除く全職員のフルネームを外したという。
市によると、こうした動きは全国的に広がっており、県内では笠間、取手、つくばみらい、守谷の4市が同様の対応をしている。
つくば市も4月から、名札から顔写真とフルネームを外し、ひらがなの名字にした。五十嵐立青市長は「個人情報への配慮は時代の流れ。窓口で様々なことを言われ、不安を抱える職員を守る必要がある」と語る。
市民サービスとの兼ね合いから変更に慎重な自治体もある。もともと顔写真を載せていない水戸市はフルネームの記載を当面続ける方針だ。人事課の担当者は「名前を出すことで責任をもって市民に向き合える利点もある。変更の是非は今後、議論していきたい」と話している。(鹿野幹男)
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