北海道東部の白糠(しらぬか)町で、地元漁協とふるさと納税の支援事業を手がける「イミュー」(東京都品川区)などが、近年水揚げされるようになったブリの地域ブランド化に取り組んでいる。7キロ超で、漁獲後すぐ船上で締めて鮮度を保ったものを「極寒ブリ」と命名。返礼品として道外にPRしている。同社の黒田康平社長(35)は「地域の魅力を高めたい」と語る。(共同通信=阿部倫人)
町のパンフレットで切り身の写真と共に「ブリしゃぶセット」(3~4人前、寄付額2万4千円以上)などを紹介。町によると、2023年10月に受け付けを始め、年度内に3千セットの上限に達し、2024年度も出品予定だ。
太平洋に面する白糠町はサケやタコ漁が盛んだが、海洋環境の変化を受け、2022年のサケの漁獲量は約700トンと、10年前から半分近くに減った。一方、2013年までほぼゼロだったブリは2022年に約17トンと増加。だが、道内の消費者にはなじみが薄く、販路も整備されていないのが課題だった。
黒田社長は以前、日本酒を海外に卸す会社で役員を務めた。生産者と付き合う中で「日本人はものづくりに一生懸命だが、売り方はもっと工夫できる」と感じていた。地域と一緒に商品をどう売り出すかを考える仕事がしたいと、2021年4月に起業した。
同社は2022年10月以降、白糠産のサケやホッキ貝などの加工品を開発。ブリは主に道外からの需要を狙って「極寒ブリ」の認定基準を設け、2023年4月には商標も登録した。
白糠漁協の担当者は「ブランド化なんて考えたことがなかった。漁獲高の柱のサケが減った分を少しでも補えたら」と期待する。
黒田社長は人口減少や高齢化など漁業以外の町の課題にも目を向け「地域に溶け込み、産業を育てながら明るい未来をつくりたい」と語った。
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