斎藤元彦・兵庫県知事や県幹部を批判する文書を、西播磨県民局長だった男性職員(60)が作成し、一部の報道機関、県議らに配布した問題をめぐり県は7日、職員を停職3カ月の懲戒処分にしたと発表した。県は、記載された全ての事案で核心的な部分が事実ではないとし、文書は誹謗(ひぼう)中傷であると認定した。処分は同日付。

 文書は3月中旬ごろに配布された。文書には、昨年8月に知事らが視察に訪れた加西市の家電メーカーから高級コーヒーメーカーを受け取ったなどと記されていた。

 県は、職員が文書を職務中に職場のパソコンで作った疑いがあり、懲戒処分に該当する可能性があるとして、3月末の退職人事を取り消して保留していた。

 県によると、文書で名前があげられていた県職員や企業関係者ら全員に対してヒアリングを実施。知事については県特別弁護士の藤原正廣氏が聴取したという。結果、聴取対象者のいずれの話も職員が指摘した事実を否定するものだったとした。

 コーヒーメーカーの受け取りについて、知事の視察に同行した県産業労働部長(55)が、4月16日の県議会の委員会で知事ではなく自らが受け取り、未使用のまま返却したと県議の質問に答えている。

 そのうえで、知事からは返却の指示があったが半年以上も返さないままだったとして県は、部長を訓告処分とした。個人の利益を得ようとする意図がないことから、金品の収受にはあたらないとした。

 職員の処分について人事課は、問題の文書作成・配布のほかに、2011年から計200時間ほどかけて業務と関係のない私的文書を多数作成していたほか、西播磨県民局長だった22年5月に部下職員に対し匿名で人格を否定する文書を送付するハラスメント行為などもあったとして、停職3カ月の処分と判断したという。

 第三者委員会を設置しなかった理由について藤原弁護士は「兵庫県では違法行為やハラスメントに関する通報は内部で受け付け、調査する制度を元々設けている」という。そのうえで「調査が行われる前からいきなり第三者委員会の設置とは本来ならない。今回人事課が行った調査によって、事実の解明ができていないと考えられる事情は認められない」と述べた。(高木智也)

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