東京大学史料編纂所が所蔵し、国宝に指定されている「島津家文書」は、薩摩藩の島津家に伝わるおよそ2万点の古文書で、編纂所では、このうち特に重要な書状を貼り付けた「手鑑」と呼ばれる現代のアルバムのようなものの修復を進めています。

修復の過程で、「歴代亀鑑」という「手鑑」の表紙の布を外したところ、下に文字が透けて見えたことから、編纂所ではことし6月ごろから赤外線カメラで台紙を撮影し、その画像を村井祐樹准教授が分析していました。

その結果、台紙の中で少なくとも50点以上の書状が重なった状態になっているのが確認できたということです。

そのうちの1つは「御文書」という巻物に残されている、1630年代に当主の島津家久に宛てられた書状の一部と文章が完全に一致しました。

それぞれの筆跡を比べると、今回見つかったものの方がより丁寧な書体で記されていることから、原本である可能性が高いということです。

新たに見つかった書状のほとんどが「御文書」に残されたものと文面が一致しており、その半数近くが原本であるとみられるということです。

村井准教授は「原本の状態があまりよくなかったので写しを作り、汚れていた原本を台紙の中に入れたのかもしれない。ただ現時点で意図ははっきり分からず謎だ」と話しています。

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。