悪質なホストクラブ対策を議論している警察庁の有識者検討会は19日、飲食料金の支払いを巡る威迫行為の禁止などを盛り込んだ最終報告書をまとめた。所属するホストが摘発された場合に店舗側へ課す処分の強化も求めた。警察庁は報告書を踏まえ風俗営業法の改正を検討し、2025年の通常国会への法案提出を目指す。
警察庁によるとホストクラブは全国に約1000店あるとされ、5割が東京と大阪に集中する。ホストが客の飲食代を立て替える「売掛金」を用いた高額料金の請求や、多額の借金を負った女性客に売春行為を促すといった事例が問題視されている。
報告書は新たに法令で禁止すべき行為として、ホストが売掛金を取り立てるために「支払わなければ実家に行く」などと威迫する▽客を困惑・畏怖させて売春行為や性風俗店での稼働などを求める――などを例示した。
店側に対する処分の強化も必要とした。現行法ではホストが摘発された場合、在籍する店舗は営業許可の停止や取り消しといった処分を受ける可能性がある。報告書は処分対象を在籍店舗だけでなく、同じグループの他店舗にも広げるよう要請した。
現行法で200万円以下の罰金と定めている無許可営業の罰則についても「抑止効果が不十分」として大幅に引き上げるよう求めた。
ホストと関係するスカウトグループが女性客を性風俗店にあっせんする問題についての対策も提示した。性風俗店側が紹介料として支払う「スカウトバック」の一部が悪質なホストにも流れているとして、規制が求められるとの考えを示した。
女性支援に取り組むNPO法人「ぱっぷす」(東京)の理事長、金尻カズナさんは「悪質なホストクラブ商法の実態や規制のあり方が明文化されたことは大きな一歩」としたうえで「女性客の居場所提供といった救済策も議論が必要だ」と指摘した。
警視庁は今年1〜11月、東京都新宿区歌舞伎町の大久保公園で売春を目的に客待ちしたとして女性88人を摘発した。このうち3割にあたる27人はホストクラブやメンズ地下アイドルなどに使う金を稼ぐことが目的だった。
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