北海道士別市で茶色い大豆「つくも4号」を地元の特産品にしようと、商店主や農家が取り組んでいる。地元出身の研究者が地域の気候に合うよう改良した品種で、約10ミリと大粒で香りや甘みが強いのが特徴。「もう一度、地域の活気を取り戻したい」。カフェを経営する平塚直樹さん(52)はおいしさに魅了され、スイーツなどの商品開発を進めている。(共同通信=星井智樹)
士別市は大豆の栽培が盛ん。農林水産省の作物統計調査によると、作付面積が全国最大の北海道の中で、市町村別で音更(おとふけ)町に次ぐ規模を誇る。
市によると、つくも4号は2004年に開発された。当初は市が主導してしょうゆ、みそを試作したが製品化は難航。菓子メーカーであん製造に携わった経験があり、その後、市内でカフェを開いた平塚さんらに2021年ごろ相談を持ちかけた。
試食した平塚さんは「今まで食べた豆の中で一番おいしかった」。この豆を地域から失うわけにいかないと考え、きな粉やあんこのほか、菓子店などと豆を使ったシュークリームや大福を開発。近隣の道の駅などで販売されている。
市内に自動車試験場を構えるダイハツ工業が商品ラベルのデザイン考案を無償で引き受けるなど、地域ぐるみで普及を図っている。
課題は生産体制だ。大手食品メーカーもつくも4号に関心を寄せているというが、現在、市内で出荷用に栽培している農家は1戸だけで、今年の収量は約2トン。90アールの畑で生産する丹敬生(たかお)さん(45)は「販路が十分にない状況で面積を増やすことにはリスクがある。手がける農家が他にも増えてくれれば」と期待する。
特産品として根付かせ、いずれは日本全国、海外へも販売していきたい考えで、平塚さんは「成功して他地域の参考になれるよう頑張りたい」と話す。
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