消費者庁は12日、機能性表示食品として届け出られている6795製品(1693事業者)を対象にした調査で、これまでに医療従事者から18製品(11事業者)でのべ117件(速報値)の健康被害の報告が事業者にあったことが分かったと公表した。

 回答したのは12日午前0時現在で1395事業者(5551製品)。回答率は製品ベースで81.7%。うち販売実績があるのは3914製品(70.5%)だった。

 消費者庁によると、入院が必要だった事例も複数あったという。ただ、いずれの健康被害も食品との因果関係は判明しておらず、関係ないものが含まれている可能性がある。事業者が情報を精査し、消費者庁への報告は不要と判断していたという。

 同庁食品表示課は「特定の商品に特定の症状が集中しているわけではなく、今の段階ではただちに何らかの対策が必要とは考えていない」とした。今後、医学などの専門家に分析をしてもらい、結果を公表する予定。

 小林製薬が機能性表示食品として販売したサプリメントの問題を受け、消費者庁が緊急調査した。尋ねたのは、医療従事者からの健康被害に関する情報提供の有無と、情報提供があった場合に消費者庁に報告しなかった理由の2点。

 小林製薬の問題では、医療従事者から健康被害に関する問い合わせを受けてから行政に報告するまで、約2カ月かかったことが明らかになっている。機能性表示食品の届け出に関するガイドラインでは、被害情報を把握したら、情報を評価した上ですみやかに報告するとしているが、報告は義務ではない。

 消費者庁は、回答を分析した上で、報告ルールなど、今後の制度のあり方の検討に反映させる。

 また、この日の参院消費者問題特別委員会で、厚生労働省は2020年6月から23年4月までに、機能性表示食品との関連が疑われる健康被害情報が4件、同省に報告されていたと明らかにした。松沢成文議員(維新)の質問に答えた。(寺田実穂子、大村美香)

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