「電子投票」は、地方自治体が条例で定めれば地方選挙に導入でき、総務省によりますと、これまでに全国10の自治体で実施されましたが、機器の不具合などのトラブルが相次いだことなどから、8年前(2016年)を最後に行われていません。

四條畷市は、職員の負担軽減につながることなどから、ことし8月に条例を制定し、15日に告示された市長選挙では、全国でも8年ぶりとなる「電子投票」が行われることになりました。

市役所では16日から「電子投票」での期日前投票が始まり、受付に設置されたモニターでは投票の進め方を説明する動画が流されていました。

有権者は投票所の記載台に1つずつ設置された専用のタブレット端末に表示される候補者名などをタッチして、1票を投じていました。

投票を終えた18歳の男性
「名前を書くよりも楽で、漢字を間違えることもないので良いと思いました。電子投票が広がっていくとよいと思います」

投票を終えた68歳の女性
「電子投票になると聞いて、最初は大丈夫かと心配でしたが、実際にやってみると簡単でした。あとはトラブルなく進めて欲しいです」

四條畷市長選挙は今月22日に投票が行われ、即日開票されます。

《電子投票 Q&A》

Q1「電子投票ってどうやるの?」

A1 投票する人にとって、従来の選挙と今回の電子投票との違いは、投票する際に「投票用紙」を使うか「タブレット端末」を使うかの違いだけです。

投票はこれまで通り、市内各地に設けられた投票所で行います。受付を済ませたあと、記載台に置かれている専用の「タブレット端末」を操作して投票します。

画面はデモ画面です

操作は、画面の指示に従い(1)「投票を開始」、(2)候補者名の選択、(3)確認画面で「投票する」と、合計3回タップすると投票が完了します。

無事に終わると「投票が完了しました」という音声が流れます。

Q2「操作できない・迷った場合はどうすればよい?」

A2 四條畷市では、端末の操作に迷ったり、操作方法がわからなかったりする場合は、投票所にいる市の職員などが横について操作をサポートするとしています。

視覚障害などがあり、自分で端末を操作するのが難しい場合には、職員などが代わりに端末を操作して投票する「代理投票」もできるということです。

Q3「『白票』は入れられる?」

A3 候補者を選択する画面で、右上にある「投票せず終了」をタップすれば、「どちらの候補者にも票を入れない」という意思表示もできます。

Q4「何度でも投票できてしまうのでは?」

A4 1度投票が完了すると、職員が端末にパスワードを入力しない限り、再び投票できないシステムになっているので、同じ人が連続して投票することはできません。

Q5「過去にはトラブルが起きているけど大丈夫なの?」

A5 電子投票は、2002年に岡山県新見市の市長選挙と市議会議員選挙で初めて導入され、これまでに全国で25回実施されています。

2003年に岐阜県可児市の市議会議員選挙で行われた電子投票では、機器の不具合で選挙が無効になり、やり直す事態になりました。

神奈川県海老名市や宮城県白石市でも機器の不具合や運用ミスなどのトラブルが相次ぎ、2016年の青森県六戸町での実施を最後に行われていませんでした。

今回の選挙では、トラブルを防止する仕組みも検討されました。

タブレット端末を提供する京セラによりますと、今回使用する端末は、選挙のために開発されたものではなく、飲食店のテーブルなどに設置されているものと同様の機材で、耐久性が高く、仮に故障してもすぐに別ものに取り替えができるということです。

また、投票データは、端末に接続したUSBメモリーに蓄積し、インターネット回線を使用しないため、通信トラブルも防げるとしています。

Q6「なぜ、電子投票をするの?」

A6 四條畷市は、電子投票を実施するメリットとして、

(1)疑問票や無効票がなくなり有権者の意思を確実に反映できる
(2)開票作業にあたる市職員を従来の約90人から約30人へと、3分の1程度に減らすことができる
(3)開票にかかる時間も従来より短縮できる

という3点を挙げています。

Q7「開票結果は、一瞬で出る?」

A7 今回の選挙では、タブレット端末に接続されたUSBメモリーから投票データを取り出して集計するため、投票終了と同時に結果が出るわけではありません

また、不在者投票は従来通り、投票用紙を使って実施するため、手作業で開票を行う必要があります。

市によると、前回の市長選挙では開票作業に1時間40分程度かかっていて「前回より短縮できると考えているものの、具体的に、どの程度短くなるかはわからない」としています。

Q8「データの書き換えなど、不正の心配はないの?」

A8 投票データは、タブレット端末に接続されたUSBメモリーに暗号化して保存されていきます。

タブレット端末は、チェーンで記載台につながれていて、USBメモリーも鍵付きの黒いケースで覆われているため、外して持ち去ることはできません。

USBメモリーに記録されたデータは、専用のアプリをインストールしたパソコンに接続して集計しますが、投票データのファイルを編集することはできません。

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