「慰霊と復興のモニュメント」で、姉の小亀寛子さんら家族の銘板を取り付ける兒玉隆之さん=14日午後、神戸市中央区(代表撮影)

1995年の阪神大震災の犠牲者らの名前を掲げた「慰霊と復興のモニュメント」(神戸市中央区)に21人の銘板を加える式典が14日開かれた。遺族は「気持ちに一区切りができた」と亡き人に思いをはせた。復興に尽力し今年3月に死去した神戸大名誉教授五百旗頭真さんの銘板も含まれ、計5068人となった。震災は来年1月17日で発生から30年となる。

兵庫県芦屋市から訪れた兒玉隆之さん(55)は、震災で亡くなった姉の小亀寛子さん(当時36)の銘板を、両親の分と合わせて取り付けた。

小亀さんは震災の日、同県西宮市の家が倒壊して下敷きとなり、夫と長男とともに死亡。神戸市内で暮らしていた兒玉さんと両親の命は助かったが、父は小亀さんを亡くしたショックで酒量が増えて肝臓がんを患い、2004年に他界。母は21年に亡くなった。

兒玉さんは震災の直接死ではなくても銘板を設置できると知り、親子3人の名前を一緒に並べようと決意。14日はモニュメント地下の「瞑想空間」で3人の銘板を手でそっとなで、「ようやく一緒に眠ってもらえた。天国でも一緒に仲良く暮らしてほしい」と語った。

五百旗頭さんは神戸大教授や兵庫県立大理事長などを歴任。震災で教え子を失った経験から災害復興や研究に力を注いだ。東日本大震災復興構想会議議長、熊本地震からの復旧・復興に向けた有識者会議座長も務めた。

銘板追加を決めたモニュメント運営委員会の堀内正美委員長(74)は「彼らがいなければ今の神戸の復興はできなかった」と話した。〔共同〕

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