東日本大震災の津波で児童ら84人が犠牲になった宮城県石巻市の大川小の卒業生らが、震災遺構となった校舎近くに、地域住民や全国からの来訪者との交流拠点をつくろうと取り組んでいる。「古里に『悲劇』のレッテルを貼られたくない」。命と向き合い、命を守ることで見えてくる新しい景色―。「子どもたちの笑顔があふれる地域にしたい」と決意を込める。  卒業生らでつくる任意団体「Team大川 未来を拓くネットワーク」は9月、校舎のガイドや音楽演奏をするイベントを開いた。校舎北側の空き地にキッチンカーやテントが並び、子どもたちが食事したり走り回ったりする姿があった。  団体のメンバーで当時小5だった今野憲斗さん(25)は「かつての大川小を見ているよう」と話す。同級生で代表の只野哲也さん(25)は「この光景は目指す大川の姿そのもの。遊びや食を通して、命の大切さを考えられる場にしたい」と語った。  震災から13年と9カ月。只野さんは「大川を訪れる人には、命を守った先にある景色を一緒に見て、感じてもらいたい」と願っている。

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