ふるさと納税制度で多額の寄付金を得たことを理由に国が特別交付税を減額したのは違法として、大阪府泉佐野市が減額決定の取り消しを求めた訴訟で、最高裁第1小法廷(岡正晶裁判長)は5日、双方の意見を聞く上告審弁論を2025年1月30日に開くと決めた。

弁論は二審での結論を変更するのに必要な手続き。裁判所で争える「法律上の争訟」に当たらないとして、市側の訴えを却下した二審・大阪高裁判決が見直される可能性がある。

ふるさと納税は、生まれ育った故郷や応援したい自治体に寄付して「返礼品」を受け取れる仕組み。泉佐野市は寄付者にギフト券などを贈るキャンペーンを展開し、18年度に全国トップの約498億円を集めた。

その後、総務省は19年に省令を改正し、寄付金の額を踏まえて交付金額を算定する仕組みを導入した。これにより泉佐野市への19年度の交付税額は前年度から約4億4000万円少ない約5300万円となった。同市は20年、減額は違法として国を相手取って提訴した。

一審・大阪地裁判決は省令改正による減額は「(特別交付税について定める)地方交付税法の委任の範囲を逸脱し無効だ」として国の対応を違法と結論付けた。

二審判決は国と自治体の間の紛争解決は行政内部の調整に委ねるべきだとして「訴訟による解決が相当とは言えない」と判断。一審判決を取り消し、減額の妥当性に踏み込むことなく、市側の請求を却下していた。

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