来年3月完成を目指すJR広島駅の新駅ビル2階に、広島電鉄の路面電車の乗り場が新設される。
来夏の新線開通に合わせて運用を始める予定で、路面電車が高架で駅に乗り入れるのは全国初。原爆投下で被爆した戦前の車両などを現役で使い「走る博物館」と呼ばれる広島電鉄に珍しい光景が加わり、話題になりそうだ。(共同通信=玉井晃平)
広島電鉄によると、路面電車では、富山地方鉄道が富山駅1階に乗り場を設けている他、宇都宮ライトレールで高架を走る区間があるが、駅ビル2階に乗り入れるのは初めてだという。
従来は広島駅前の地上広場に駅があったが、バスやタクシーの乗り場も同じ空間で手狭だった。太田川の三角州上で地盤が弱い広島の事情も踏まえ、空間を立体的に利用しようと2階乗り入れが決まった。JR西日本の新幹線や在来線の改札も2階にあり、乗り換えがスムーズになる。
来夏に開通する新線は「駅前大橋線」。広島市中心部や世界遺産・厳島神社のある宮島を結び、広島駅から市中心部への所要時間は約4分短縮される。
開通後に、駅近くの的場町と中心部の紙屋町や市役所を環状で結ぶ循環ルートも整備する。
広島電鉄は、被爆時からある車両や、路面電車が廃止された京都市や大阪市、神戸市などで使われていた車両の他、未来的なデザインの新型車両といった多様な列車を運行している。
今秋からはJR西の車両とお互いのデザインを入れ替えたラッピング電車も走らせている。
新線が開通すれば、これら特徴ある車両が高架を通って新しい駅ビルに入る景色が見られる。広島電鉄の担当者は「全国的にもなかなかない光景になるだろう。ぜひ開通を楽しみにしてほしい」と話している。
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