財政制度等審議会は、29日、来年度予算案の編成に向けた建議をとりまとめ、加藤財務大臣に提出しました。

建議では、日本経済の現状について、「もはやコロナ禍ではない」という一文から始まり、新たなステージに向けて移行しているという認識を示しました。

その理由として個人消費は力強い回復には至っていないものの、企業収益は歴史的な高水準で推移していることや、賃金の上昇などを反映したより基調的な物価上昇に変化しつつあることを挙げています。

ただし、現状認識にあたっては、「新型コロナの社会生活への影響を否定するものではなく、感染リスクや後遺症などへの対応が必要」などとしています。

そのうえで、ほかの先進国と同様に歳出構造の平時化に取り組む必要があり、財政健全化の指標、「プライマリーバランス=基礎的財政収支」を来年度に黒字化する目標の達成だけでなく、経済再生と財政健全化の両立を前進させる必要があると提言しました。

政府の新たな経済対策が財政に与える影響にも言及し、規模ありきの予算編成ではなく、予算と政策の質の向上を図ることが不可欠だとして、「国民の理解の醸成」と「議論の喚起」が重要だとしています。

増田寛也分科会長代理「できるだけ早く平時に」

建議について、財政制度等審議会の増田寛也分科会長代理は記者会見で「コロナ禍は平時ではなく特別な状況で、多くの歳出をし目先の危機をどう乗り切るかそれに集中してきた財政だった。5類への移行から時間もたち、できるだけ早く平時に戻さなければいけないという考え方のもと個別の予算も財政当局できちんと見直してほしい」と述べました。

その上で「金利がある時代に変わり、物価上昇も見られる経済環境の変化があり、この変化を踏まえて国の全体の成長にどうつなげていくか、財政全般の中で考えてほしい」と述べました。

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