和気あいあいとノート制作に取り組む西ふさえさん(中央)ら=石川県能登町神和住の「手づくり処神和住」で
能登町神和住(かみわすみ)の工房「手づくり処神和住」に4月初め、近くに住む主婦ら5人が集まった。「これ大島紬(つむぎ)や」「青海波(せいがいは)もある」と着物の種類や紋様で盛り上がりながら作業を始めた。 布は、がれきの整理や家の片付けで処分するはずの着物などで、住民から持ち込まれた。布を採寸し、形崩れを防ぐ接着芯を取り付けてミシンで縫い、アイロンをかけてノートにかぶせて完成。A5サイズでペンを入れるポケットも縫い付けてある。手際良く作業を進めながら、「罹災(りさい)証明書もう届いた?」「来たで」「うち半壊だったわ」と近況を報告し合った。◆「ピアカウンセリング」の役割も
ノート制作が始まったのは、工房が災害支援団体「チーム神戸」の活動拠点となったのがきっかけだった。団体の金田真須美代表(65)は、西さんが「うちはたいしたことない」と気丈に振る舞うのが気になった。工房の扉や給湯器などは壊れていたほか、発生直後は西さんの作品の販路も断たれていたからだ。 金田代表は、西さんの裁縫技術を生かしたノート作りを提案。同じ背景を持つ人同士が制作を進める中で、対等な立場で話を聞き合う「ピアカウンセリング」の役割も果たすという。西さんらが制作を進めている「Notoノート」
「珠洲(すず)市や輪島市はここよりもっと大変で。申し訳なくなる」と西さん。「1ページ目には被災地が一歩前に踏み出す言葉を書いて。ノートを手に取り奥能登とつながる人の輪を広げたい」と願う。 1冊1000円。売り上げは、職を失った女性の仕事づくりと被災地の復旧支援に活用される。能登町天坂の「味知の駅能登 能海山市場」で扱ってもらうほか、全国で販売できる場所も探している。問い合わせは、メール=abimasumi413@gmail.com=へ。 鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。