厚生労働省が2023年度に行った調査では、全国の企業で、課長級以上の管理職に占める女性の割合は12.7%と、国際的にみると低い水準にとどまっています。
このため、女性管理職の積極的な登用を促そうと、厚生労働省は26日に開かれた労使などでつくる審議会で、企業に対して女性の管理職比率の公表を義務づける方針案を示しました。
それによりますと、対象は従業員101人以上の企業で、企業の積極的な登用を促し、就職活動を行う人が、職場を選ぶ際の参考情報として役立ててもらうねらいがあるということです。
この案について審議会では、委員から「数値を公表するだけでなく、企業に課題の分析などを促していくことも大事だ」という意見や、「国も、企業が女性管理職比率の向上に取り組めるよう好事例を共有するなど、後押しすることが大事だ」という意見が出されました。
また、厚生労働省は、現在、従業員301人以上の企業に公表が義務づけられている男女の賃金格差についても、対象を拡大して101人以上とする方針案を示しました。
厚生労働省は、審議会での議論も踏まえ年内にも正式に取りまとめることにしています。
日本の女性管理職比率 国際的に低い水準
厚生労働省が、2023年度に全国の企業6000社を対象に行った調査では、3000社余りから回答があり、課長級以上の管理職に占める女性の割合は、2023年10月時点で12.7%でした。
これは、前の年の2022年度と同じ割合で、現在の方法で調査を始めた2009年度以降、最も高くなりましたが、調査の開始時点からは2.5ポイントの上昇にとどまっています。
企業の規模別に見ると、
▽10人以上30人未満の企業は21%と、最も高かった一方で、
▽5000人以上の企業では10.2%となっていて、
規模が大きい企業のほうが、割合が低い傾向となっています。
産業別にみると、
▽医療・福祉が52.7%
▽教育、学習支援業が24.8%と、比較的高く
▽電気・ガス・熱供給・水道業が4.4%
▽製造業が8.5%
などとなっています。
また、労働政策研究・研修機構が公表した各国別の女性管理職の割合の国際比較では、2022年時点で比率が高い順に、
▽フィリピンが53.4%
▽スウェーデンが41.7%
▽アメリカが41%
▽シンガポールが40.3%
▽フランスが39.9%
などとなっていて、同じ調査で、
▽日本は12.9%と、国際的に見て低い水準となっています。
このため、厚生労働省は企業に女性の管理職比率の公表を義務づけることで、積極的な登用を促したいとしています。
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