「少し緊張しております」「2日間、どうぞよろしくお願いします」。
初めての単独地方公務で佐賀県入りした天皇、皇后両陛下の長女愛子さまは、空港で山口祥義知事らの出迎えを受け、丁寧にあいさつされた。
10月11日から1泊2日で臨んだ訪問。人々の暮らしぶりや地域事情にじかに触れ、国民と共にある皇室の一員として、自覚を深めているようだった。(共同通信=志津光宏)
▽入念に準備
皇族は例年、国民スポーツ大会(旧国民体育大会)を現地観戦し、愛子さまも今回から加わった。初日の11日は少年男子100メートルなど陸上競技、12日は柔道を応援した。
側近によると、実際に見るのはいずれも初めて。愛子さまは「テレビで感じることができない足音まで聞こえて、感激でした」と声を弾ませた。
観戦の際は、ルール説明や実況をする専門家がつく。
「鹿屋体育大にもいらっしゃったんですね」。全日本柔道連盟の西田孝宏副会長は、愛子さまが自分の経歴を把握していたことに驚いた。
入念に準備してきた様子の愛子さまは「パリ五輪の柔道も毎晩遅くまで見ていました」と伝えた。
▽歴史、文化に触れ
地方公務は、その土地の歴史や文化を知る機会にもなっている。
滞在中、県立佐賀城本丸歴史館で、幕末・明治維新期に佐賀が輩出した偉人たちの展示を見学した。愛子さまが勤務する日本赤十字社の創設者・佐野常民の情熱を描く寸劇にも真剣に見入った。
山あいにある工房「名尾手すき和紙」に足を延ばし、紙すきに挑戦した。職人の手ほどきを受けながら300年続く伝統を肌で感じ、「奥深いですね」と感心していた。
「一つ一つのお務めを大切にしながら、少しでも両陛下や他の皇族方のお力になれますよう、私のできる限り、精いっぱい務めさせていただきたい」。
愛子さまは2022年の記者会見で、成年皇族としての思いを口にした。
今回の訪問は、行く先々に大勢の人が集まり、愛子さまは車の窓を開けて笑顔でずっと手を振っていた。
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