北陸新幹線の敦賀―新大阪間の延伸計画で、自民党の京都府議団が20日、山陰新幹線の実現につながるルートとなるよう国に強く求める要望書を西脇隆俊知事あてに提出した。府議団は11日に「ルートの再考」を求める要望書を西脇知事に手渡していたが、新たな要望書では「ルートの再考」の文言が消え、政府・与党が進める「小浜・京都ルート」を前提とすることを明確にしたかたちだ。

 福井県小浜市から京都市中心部までをつなぐ「小浜・京都ルート」は大部分がトンネルで、京都市右京区の京北地区付近にトンネル区間の一部を地上に出す「明かり区間」を設ける案を国土交通省が示している。

 11日の要望書は、府中北部で新幹線整備による受益がほとんどないと指摘。「府北部地域をはじめ、府域全域に整備効果を波及させられるようルートの再考を国に強く求める」ことを西脇知事を求めた。20日の要望書は「府北部地域をはじめ、府域全域に整備効果を波及し、山陰新幹線の実現につながるルートとなるよう国に強く求める」と文言が変わった。

 近藤永太郎団長は、取材に「我々は北陸新幹線の早期着工をまず求めている。その上で府北部の振興の実現を求めるため、11日に要望書を出した」と説明。20日に改めて要望書を出した理由については「『ルートの再考』という言葉が分かりにくいという指摘があってのこと。府北部をはじめ府域全域の振興を求めていることは変わらない」などと話した。

 自民関係者によると、11日の提出後、北陸新幹線の延伸に関する与党整備委員会の西田昌司委員長(参院京都選挙区)が「ルートの再考はできない」「要望書が分かりにくい」などと修正を求め、府議団幹部が受け入れたという。

 一部の自民府議は、20日の要望書の内容は府議団内で協議していないとして「新たな要望書は無効な虚偽文書。提出は自民党の国会議員や自民府議団への信頼を失墜させる行為だ」などと反発している。(西崎啓太朗)

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