公益通報制度で内部告発したことを内閣府に不当に漏らされたとして、公益財団法人「中部科学技術センター」(名古屋市)の男性職員(53)が国と法人に賠償を求めた訴訟の和解が名古屋地裁で成立した。4月23日付。男性と代理人弁護士が今月1日に名古屋市内で会見を開き、明らかにした。
代理人弁護士などによると、男性は2022年4月と10月、公益法人を所管する内閣府に対し、センターが国の補助金を不正請求しているなどと通報した。通報を受け、内閣府の職員は同月、センターのホームページにある問い合わせフォームに男性の実名や「事実無根の虚偽通報で混乱させた」「(男性に)トドメをさして葬り去ることを希望する」などと投稿し、センター側に知らせたという。
男性は2023年の夏に国と法人を提訴し、内閣府が調査。漏洩(ろうえい)の事実が確認され、同9月に事案を公表した。職員は停職3カ月の懲戒処分になったという。
国側は訴訟で、法令違反があったことを認め、男性に75万円の賠償を約束し和解。和解条項には、情報管理の徹底などの再発防止策を適切に講じることも盛り込まれた。男性は「より使いやすい公益通報制度を国は整備するべきだ」と話している。(高橋俊成)
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