高速道路の工事規制区域に車が誤って進入する事故が4年間で2倍以上に増えている。作業員が死亡する事故も起きており、高速道路各社が注意を呼びかけている。

 高速道路会社3社が調べたところ、高速道路上での工事に伴う規制区域に車が進入し、作業員や工事車両に衝突したり、矢印板やラバーコーンなどの規制材に接触したりする事故は、2023年度までの4年間で5006件発生。23年度は1750件で、19年度の704件から大幅に増えた。

 死亡事故は4年間で計5件発生し、5人の作業員が亡くなったという。

 昨年10月には、中央自動車道でトラックが規制された車線に進入し、作業車に衝突。作業車とガードレールの間にいた作業員が挟まれて死亡した。ドライバーによる前方不注視が原因とみられるという。21年度には、標識の設置中に路肩に進入してきたトラックに追突されるなどして3人の作業員が亡くなった。

 事故原因については、集中力や注意力の低下による漫然運転が67%と最も多く、脇見運転(16%)、居眠り運転(3%)と合わせ、全体の約9割が前方不注視によるものだったという。

 事故が増えている詳細な理由は分析できていないというが、東日本高速道路(NEXCO東日本)の担当者は「交通量がコロナ禍から戻ってきたことやリニューアル工事の増加、スマホなどの『ながら運転』も要因のひとつと捉えている」と話す。各社では、直接ドライバーに警告音が届く超音波を使ったスピーカーを設置するなど、進入対策を進めているという。(東郷隆)

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