災害時のトイレの備えは大丈夫? 11月19日の世界トイレデーに合わせ、「災害時に安心できる栄養とトイレのおはなし」と題したオンライン講演会が17日、開かれた。NPO法人日本トイレ研究所などが主催。日ごろから備えておくべきポイントなどを紹介した。
会ではまず、2016年4月の熊本地震で被災した男性(57)が、潰瘍(かいよう)性大腸炎を患う妻との避難生活について講演。トイレが使える場所を探して、避難所での生活を諦め、かかりつけの病院の駐車場で車中泊をしたことや、衛生用品が手に入らずに苦労した体験を語った。
自宅に帰ってからの避難生活では、ペットボトルに取り付けて使える携帯型のおしり洗浄器が便利だったと紹介。今後の災害に備えて、非常用品を自宅・車・非常用持ち出しリュックなどの数カ所にわけて保管し、工夫しているという。
阪神・淡路、東日本大震災でも
日本トイレ研究所の加藤篤代表理事は、「自宅での災害時のトイレの備え方」について講演。1995年の阪神・淡路大震災でも、2011年の東日本大震災でも、今年の能登半島地震でも、トイレに汚物があふれてしまった現実をふまえ、「備えが無ければ、次の大きな災害でも確実に同じことが起こる」と、警鐘を鳴らした。
加藤さんたちの調査などによると、過去の大災害で被災した人のおよそ3~4割、阪神・淡路大震災では6割超が、発災から3時間以内にトイレに行きたくなった、と回答しているという。一方で、今年1月の能登半島地震で、発災から3日以内に仮設トイレが届いた避難所は、調査した中では10カ所中1カ所しかなかった。
加藤さんは「排泄(はいせつ)は待ったなし。外部支援に頼るのはリスクが高い」。平常時に「これだけは絶対にやってほしいこと」として、洋式便器に袋をかぶせて、排泄物を凝固剤や吸収シートで固める、携帯トイレの準備を挙げた。
携帯トイレいくつ必要? 1日のトイレ回数×家族の人数×日数分
災害時のトイレの衛生は、感染症のほか、脱水などに起因するエコノミークラス症候群や誤嚥(ごえん)性肺炎などの予防としても大切だ。
加藤さんは、「自分が1日に何回トイレに行くか」を数えてみて、その数に「家族の人数」「1週間分(7日)」をかけ算すると、必要な携帯トイレの数が計算できるといい、平時から備えて欲しいと呼びかけた。(鈴木彩子)
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