厚生労働省が入る中央合同庁舎第5号館=東京・霞が関

 厚生労働省は、働いて一定の収入がある高齢者の厚生年金を減らす「在職老齢年金制度」を見直し、対象を縮小する方向で調整に入った。働きながら年金を満額受け取れる高齢者が増える。「働き損」を解消して就労を促し、人手不足の緩和につなげる。現在は賃金と年金の合計が月50万円(基準額)を上回った分の半額を減らす仕組み。この基準額を62万円や71万円に引き上げる案を軸とする。与党との協議も経て年末までに決める。関係者が18日、明らかにした。  支給額が膨らみ年金財政に影響するため、現役世代に当たる高所得の会社員らの保険料負担を増やす案も検討する。減額を完全になくす案も協議するが、徴収する保険料を大幅に増やす必要がある。保険料を折半する会社員と企業の反発を考慮して見送る方向だ。来年の通常国会への関連法案提出を目指す。  2022年度末時点で、働きながら年金を受給する65歳以上は約308万人。うち約50万人が当時の基準額(47万円)を超えていた。減らした総額は年間4千億円以上だった。就労意欲を阻害しているとの指摘があった。

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