本番が近づき、胡桃沢さん(右)と一人芝居で演じる俳優の川口龍さんはけいこに熱がこもる=東京都内で
かつて日本が国策とした「満州国」(中国東北部)の「開拓」に送った村民が、敗戦時に集団死に追い込まれた。その罪責から自死した長野県下伊那郡河野村(現在の豊丘村)村長、胡桃沢盛(もり)さん(1905~46年)を描く劇「鴨居(かもい)に朝を刻む」が今月、東京都内で上演される。戯曲は孫の劇作家で精神科医のくるみざわしん(本名・胡桃沢伸)さん(58)が、盛さんが残した日記から着想し書き下ろした。 舞台は36年12月、電車の乗り換え待合室から始まる。地主の家に生まれた主人公の男Mは、これから妹が住む東京に向かう。顔見知りがいない都会の自由を想像して胸が高鳴る。Mは夢を見た。背広姿の男が現れ、「おまえのせいでみんな死んだ、ばかやろう」と怒鳴られ、目が覚めた。「みんな死んだ」。この見知らぬ男の言葉は、後に起きる悲劇の暗示。背広男はMの運命を知っているのだ。 36年は陸軍皇道派青年将校によるクーデター事件「二・二六事件」が起き、政府は満州開拓移民計画を発表。恐慌で疲弊した農村部などから送出された移民の数は敗戦までに27万人。盛さんは43年、町村単位で地元に残る人と満州に送る人を分ける「分村」を決断し、開拓村に27世帯95人を送った。開拓団の成人男性は終戦前に徴兵されて不在だったが、残る女性や子ども、高齢者は敗戦時、奪われた財産を取り戻しにきた中国人に襲われ73人...残り 583/1165 文字
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