同僚へのパワーハラスメントで懲戒処分を受け、異動となった大阪府池田市立中学校の教諭が異動後も同じ学校に出入りしているとして、全教池田教職員組合が、この教諭の校内への立ち入りをやめさせるよう市教育委員会に要望書を出していたことがわかった。

 市教委や学校によると、この教諭は2月、複数の同僚に暴言を吐いたり、大声で怒鳴ったりしたとして、停職1カ月の懲戒処分を受けた。パワハラ行為は十数件で、被害者は十数人に及んだという。

 教諭は4月1日付で市教委に異動になった。ただ、教諭は中学校の運動部の顧問をしていて、この運動部の生徒やその保護者からの要望を受け、校長が1日以降も「外部コーチ」として始業前に校内で指導することを認めたという。

 中学校には今も数人の被害者がいて、うち一人は「(加害教諭の)姿を見ただけで震える」などと全教池田教職員組合に訴えた。このため教職員組合は4月下旬、この教諭を校内に立ち入らせないことなどを求める要望書を市教委に提出した。

 市教委によると、内部でも被害者の心情に配慮するべきだという意見が出たが、保護者と生徒の要望を重視して、外部コーチを認めたとしている。小林弘典・教育部長は「当時の判断は間違っていない」としたうえで、「現場から不安の声が出ている以上、外部コーチを継続させるかどうか検討せざるを得ない」と話した。

専門家「加害者と加害者、顔合わせないようするのが当たり前」

 ハラスメントに関する相談を受けたり助言をしたりする一般社団法人「日本ハラスメント協会」(大阪市)の村嵜要・代表理事の話 パワハラの加害者と被害者が顔を合わせないようにするのが当たり前で、学校や市教委の対応は問題だ。教員の体調が悪化すれば多くの生徒に影響が出てしまう。(田中祐也)

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