京都市動物園のメスのツシマヤマネコ「さすな」=8月(京都市動物園提供)

 国の天然記念物ツシマヤマネコに関し、環境省が長崎県対馬市の「ツシマヤマネコ野生順化ステーション」で繁殖に取り組む方針であることが13日、分かった。動物園で生まれた個体を野生生活に慣らすための公営施設との位置付けだったが、繁殖にも積極活用する。  同省によると、日本動物園水族館協会と連携し、京都市動物園の3歳のメス「さすな」と、福岡市動物園の3歳のオス「チョビ」を来年1~2月をめどにステーションに移す。隣接したケージで飼育し、カメラで観察するなどして発情行動が確認できれば、同居させる。ステーション内は本来の生息環境に近いため、繁殖の成功率が上がると期待される。  ツシマヤマネコは対馬だけに生息するが、森林伐採や交通事故で激減、1990年代には島内に70~90匹と推定された。  危機感を抱いた同省は各地の動物園に協力を依頼。現在、那須どうぶつ王国(栃木)など9施設が繁殖計画に参加している。今冬から来春の繁殖期にかけても、各施設でお見合い相手を変えたり、人工授精したりするなどし、繁殖を図る。

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