名古屋市守山区の電気工事業、白坂翔被告(24)は去年11月、守山区内の交差点で、酒を飲んで正常な運転が困難な状態で車を運転し、赤信号を無視して、近所に住む女子大学生の水谷歌乃さん(20)をはねて死亡させたとして、危険運転致死と道路交通法違反の罪に問われました。

13日の判決で、名古屋地方裁判所の坂本好司裁判長は、被告がビール7杯以上を飲んでいて、強い眠気にあらがえず車線をはみ出すなど、正常な運転が困難な状態だったと指摘しました。

そのうえで、「身勝手な判断で、寝落ちをしながら危険な運転を継続したのは、強い非難に値する。被害者に落ち度はなく、未来へのさまざまな可能性があったのに、突然の事故で命を絶たれ、肉体的苦痛や無念さは計り知れない」などとして、懲役9年の判決を言い渡しました。

判決のあと、裁判長は被告に対し「『罪を償っていきたい』と発言していたが、これまでの姿勢から、罪の大きさを重く受け止めている様子は見られない。未来ある若者を死なせてしまったことに向き合い、一生をかけて償う気持ちを忘れないでほしい」と述べました。

亡くなった歌乃さんの父親 “一瞬で奪った未来返して”

亡くなった水谷歌乃さん(20)は、3人姉妹の次女として生まれ、事故当時は、愛知県内の大学で国際交流などについて学んでいました。

父親の豊さんや友人によりますと、韓国に旅行に行くほどK-POPが大好きで、事故の2日後には、名古屋市内で行われるライブに行く予定でした。

豊さんは、11月6日の裁判で意見陳述に立ち、「被告は何年後かに刑務所から出て、人生をやり直すことができますが、歌乃はもうできません。歌乃が光り輝く希望に満ちあふれた未来を返してください。生きたい自分が20歳で人生が終わることを考えてください。仕事、恋愛、子どもを産んで家庭を持つこと、夢を見ること、やりたいこと、いろんな可能性を被告は一瞬で奪いました」と訴えました。

当時、歌乃さんは20歳。

2か月後には、成人式も控えていました。

着物も選び終え、友人と「成人式で会えるのが楽しみだね」と話していたということです。

13日の判決のあと、豊さんは「家族の中で大切な存在が失われた。誰もが、自分は大丈夫だという思いを持っているが、それが重大な事故につながるということを感じてもらいたい」としたうえで、「気持ちの整理はまだついていないが、家族で前を向いて生きていきたい」と話していました。

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