「ZEN大学」は、IT大手のドワンゴと公益財団法人の日本財団が開学する通信制の大学です。
1学年の定員は3500人と通信制としては異例の規模で、オンラインですべての授業を受けることができます。
来年4月の開学が決まったことを受けて、大学側が12日都内で会見を開き、学長に就任する予定の九州大学の若山正人名誉教授が「社会に出ても学び続ける力を養ってもらえるよう学生の挑戦を後押しする大学を目指したい」と述べました。
ZEN大学では学力試験は行わずに小論文や志望理由で入学選考するほか、最大600人を対象に奨学金制度を設けるなどして意欲のある人に広く学ぶ機会を提供するとしています。
ドワンゴはおよそ3万人の生徒が学ぶ通信制高校の「N高校」などの運営にも関わっていて、互いの授業を学べるような学習面での連携も計画しているということです。
系列となる通信制高校で学ぶ学生も期待
ZEN大学の系列となる通信制高校で学ぶ学生からも開学を期待する声が聞かれました。
系列の通信制高校の3年生でZEN大学への進学を考えている神奈川県の古川功基さんは、通信制の魅力について「場所と時間に縛られず、空いた時間に好きなことに熱中できることです」と話していて、系列の通信制の高校でも、必修の教科だけでなく課外授業で関心のあるテーマも学ぶことができているといいます。
大学では、哲学のほかアニメやイラスト制作の勉強をしたいということで、古川さんは「ZEN大学にはほかの大学ではあまり見ない珍しい科目もあります。とにかく幅広くいろいろな科目を学びたい時に学べ、いいとこ取りができるのが魅力です」と話していました。
オンライン教育に詳しい専門家は
IT大手のドワンゴは学校法人を設立して通信制高校「N高校」などを運営し、ネットを活用した教育の実績を積み重ねています。
今回、新たに大学教育にも乗り出したことについてオンライン教育に詳しい熊本大学の鈴木克明名誉教授は「ZEN大学は、N高校など系列の大規模な通信制高校からの進学者も対象に開設されることが特徴的だ。N高校などでは従来の高校とは異なる学習が展開されているが、大学レベルでも継続できることが大事だ」と指摘します。
そのうえで「コミュニケーションが苦手という人たちだけでなく、ほかにやりたいことがあるとか、社会の役に立ちたいなど、大学で学びながらやりたいことがある人たちが活躍できるような選択肢にもなってほしい」と話しています。
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