今回の兵庫県知事選は、県議会の不信任を受けた失職に伴って投開票される。再選を目指す斎藤氏が知事にふさわしいのか、知事に求められる資質とは何なのかが主要な争点となっている。
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失職につながったのは、斎藤氏自身の職員に対するパワハラ疑惑などが内部告発された問題への不適切な対応だった。告発は匿名でなされたが、斎藤氏は部下に「告発者捜し」を指示したほか、自身に向けられた疑惑を県の内部調査で処理しようとし、告発内容の「核心部分が事実ではない」として、告発者の元西播磨県民局長に懲戒処分を下した。専門家からは「いずれの対応も公益通報者保護法に違反する」との指摘が相次いだ。
元県民局長は、県議会が設置した調査特別委員会(百条委員会)で証言する予定だったが、目前に控えた7月に死亡した。「死をもって抗議する」などのメッセージを残していたという。百条委では、一連の経緯に対する道義的責任が問われたが、斎藤氏は「道義的責任が何か分からない」と述べ、県議会から「知事の資質を欠いていると断ぜざるを得ない」と批判された。
元県民局長の告発は3月、パワハラや物品の受け取りなど七つの疑惑を挙げた文書が県議や報道機関などに配布された。斎藤氏は記者会見で「うそ八百」「(元県民局長は)公務員として失格」と批判したが、県議会による県職員を対象にしたアンケートでパワハラの申告が多数寄せられ、斎藤氏は百条委の証人尋問で一部を認めた。また、斎藤氏本人ではないものの、県の部長が企業からコーヒーメーカーを受け取っていたことなども明らかになった。「うそ八百」とは言えない状況や内部告発への対応のまずさについて、メディアや県議会から追及された。
これに対し、斎藤氏は知事選の候補者を対象にした朝日新聞のアンケートで「一つひとつの局面や状況で、取り得る最善の対応をしてきた」などと回答。街頭演説では、「斎藤元彦を引きずり下ろそうとする色んな声や力がある。絶対に負けるわけにはいかない」などと訴えている。
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