北海道大は9月、観光客や市民も多く訪れる大学構内で北海道産のワインを有料試飲できる「北大ワインテイスティング・ラボ」を開設した。多種多様な道産ワインの魅力を伝えるとともに、化学成分と味の好みに関する研究にも役立てる計画で、担当者は「実際に味わって、知ってもらう場所として活用したい」と意気込む。(共同通信=川村隆真)
9月下旬、北海道ワイン教育研究センター棟の試飲スペースでは数人がワインを味わっていた。毎週金―月曜日に開館。コイン式のワインサーバーを設置しており、北大の「余市果樹園」で育ったブドウを使った希少なワインなど12種類のうちから、1500円で3種を選べる。定期的に種類を変え、道内各地のワインを幅広く用意する方針だ。
センター長を務める大学院農学研究院の曽根輝雄(そね・てるお)教授(55)によると、1日50人ほどが利用している。曽根教授は「地域ごとの味を楽しめるのも道産ワインの魅力。ワイナリーによる味の違いを比べてほしい」と語る。
曽根教授はワイン研究への寄与にも期待をかける。気温が低い北海道はブドウ栽培に向かないとされていたが、温暖化の影響で適地になりつつあり「今後、ワイン造りの中心地として重要性が増していく」。北大は、北海道を世界的な産地に育てる「北海道ワインバレー」構想の実現に向け、研究を進めている。
ラボでは研究の一環として、試飲した人にアンケートを実施。どのような観点からワインを選び、どんな印象を持ったかを尋ねる。成分と嗜好(しこう)性の関係を調べ、成果をワイナリーのマーケティングなどに活用してもらう考えで、曽根教授は「将来的には生産者が自分のワインを直接紹介できる場所にもしていきたい」と力を込めた。
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